2010年7月 2日

風景の共有_(book)


建築からみた まち いえ たてもの のシナリオ
[単行本(ソフトカバー)]


建築家、貝島桃代さんの新著を読んだ

その一稿「風景の共有」の中で、
国木田独歩がその著書「武蔵野」に描こうとしたのは、いわゆる日本の伝統的な美しさを認められていた青々とした松林ではなく、雑木林の武蔵野であり。
なぜ独歩が武蔵野に美しさを見いだしたのかと言えば、それは武蔵野がありのままの自然ではなく、人々の暮らしの中にあり、人々の営みや関係性とともに変化し、まさに日本の農村の営みそのものを美しさを体現していたからだと著者は説明している。

著者が訪れた飛騨市種蔵の、棚田と雑木林と集落の点在する美しい風景は、伝統かと思いきや実はめまぐるしく変化している中での現在の姿であるということを知らされて驚いている。

(以下引用 p105)
「入会地では、春になると「山分け」をして、それぞれの家の持ち分を決めたうえで、ヒエ、粟、麦などの雑穀を育てる。四、五年してその穀物の育ちが悪くなると、広葉樹を植え育てる。広葉樹が大きくなるそのあいだ、落ち葉が腐葉土となり、土壌を肥沃にする。二十年ほど経った春、木を伐る。冬になると、雪を利用して、乾燥させた木材をそりに載せ集落まで運ぶ。そしてまた春になると、そこで山分けをするという循環である。こうした循環によって作られる多様性は、連作障害を避け、限られた山の平地を有効に活用するための知恵である。
(引用以上)

このような長い年月をかけた循環の中で育まれてきた風景が、僕が現在住む能登にもかろうじて残されている。それでも他の地域と比べればかなり残されていると言えるのだと思う。かろうじてと言うのは、そんな風景が刻一刻となくなっていく危機感を住み始めて3年という新参者の僕にもうすぼんやりと感じることができるからだ。

現代社会の中で、かつての農村のような社会を再生することは難しいが、残っている風景を持続させることを考え、それを支える社会の持続性を想像することが重要だと著者は説いている。

(以下引用 p108)
もし風景が、雑木林が混ざることによってその多様性と美しさを獲得していたのであれば、その多様性を維持する仕組みが必要である。雑木林が、かつての集落の共有地として、複数の人の手によって維持されていたように、現代における共有の仕組みを考えること、美しい雑木林の背景や方法を理解すること、そして美しい風景をつくったという共有の経験を持つことが必要だと思う。
(引用以上)

この美しい雑木林を意図してつくるということが難しい。

僕が住む集落のおばあちゃん達はとても元気で、毎日田んぼや畑仕事に忙しくしている。朝から晩まで本当に休むことなくいつも働いているのだ。そして今ある能登の美しい風景は紛れも無くそんなおばあちゃん達の日々の営みにより、手入れされることで維持されていると実感する。

果たして十年、二十年後にも僕達は美しい雑木林を見ることができているのだろうか。
元気でいつも働いている近所のおばあちゃん達を見るたびに、こころのどこかで少し不安になる。


と、こんなことを書くつもりではなかったのだ。
何しろこの本は、世界の様々なまち、いえ、たてものを独自の視点で読み解いた異常におもしろい本だったから。
しかし、「メイド・イン・トーキョー 」等で専ら都市へのインパクトのある提案をしている印象の強い著者の、田舎の風景への考察を読むことができたことがとても新鮮に感じて、思うところを書いてしまいました。


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なんども試作を重ねてようやく完成しました。
革のiPhoneケースです!

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能登で活躍する木工作家の高畑圭介さんと革作家のaikoさんと協同で制作しました。
それぞれが妥協すること無く完成度を高め、使い勝手にもこだわった一品。
革の障り心地が何とも言えず、ストラップが付いたことで格段に持ちやすさが増しました。

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こちらは僕が使用しているヌメ革タイプ。
今はまっさらなヌメ革が月日が経つとともにいい風合いになってくれるはず。
楽しみです・・

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こだわった点、他にもいろいろありますが興味のある方は下記紹介ページを是非覗いてみてください。

notodesign iPhoneケース

ちなみにiPhone4用のケースもただ今開発中ですのでお楽しみに!



先日、iPhoneケースを作って頂いているaikoさんとKさんに、うちの作業場にむき出しで転がっていた小刀を見られました。
これじゃああんまりだということで革の鞘をお願いして刃物をお預けしたところ・・

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なんとピカピカに研がれて帰ってきた私の刃物!
さらに刻印入りの立派な鞘と、
刃物を手入れする椿油を入れる油壷のおまけ!?付き。
(しかも材料は貴重なスス竹。)

馬子にも衣装とはこのことかと思いきや、
「この刃物、結構いいものよ」とKさん。
そういえば刃物の産地、燕の知り合いから頂いたもの。
錆び錆びで放置していて申し訳なかったです・・

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笑えたのはさらに、木で作られたダミーが革の鞘に納まっていたこと。
形は刃物とまるで一緒。ペーパーナイフにもなりそうです。
Kさんどうもありがとう。
これからは道具大事にします。


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ブルブルマンとの再会も無事果たし、息子と同級生になる岩本家のコピロリくんとの相撲対決もしてきました。

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味のある町家建築の土間に並べられたエタブルの作品達、時間をかけた物づくりはどれも存在感があって、とってもあったかい品々でした。
で、僕はシャツを一枚購入しました。

僕の体型は腕と胴はLサイズなのですが肩幅だけがもう1サイズ上なので、肩に合わせると袖が長かったり、胴と腕の長さを合わせると肩がきつかったりと、なかなか市販のものだとぴったりということが無かったのですが、
エタブルの洋子さんに薦められたシャツを着てみるとなぜかぴったり!?
ブルブルマンの体型に合わせて作られているということだったので僕の体型が彼と同じということが判明・・
しかし、サイズの合う人が少ないのでシャツの規格は変更するつもりだとおっしゃっていました。残念です。
しかし、これはこのシャツに理想の体型だ、などとおだてられ規格最後のシャツを気を良くして購入してきました。

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とっても気になった子供用のおもちゃ。

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エタブルの洋服屋台「山猫軒」
2010年6月25日(金)〜6月27日(日) 11時から18時
会場 岩本清商店 金沢市瓢箪町3-2 Pなし
tel. 076-231-5421 
「金沢駅」「武藏ヶ辻」バス停より徒歩10分。
城下町金沢周遊バス「明成小学校前」バス停より徒歩10秒。

エタブルオブメニーオーダーズ

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エタブルとは何のことかと思ったら、eatable(食べれる)だそうだ。

エタブルデザイナーの新居幸治さんはうちの奥さんが能登カフェをしていた時分、金沢で桐工芸をされている岩本さんの紹介で泊まりに来てくれたことがあった。 僕はその時どこか島の外に出かけていて、帰りにひょっこり温泉でみんなと待ち合わせて、幸治さんとは初対面で一緒に温泉に入ることになったのです。

ところが彼は温泉に入る準備をまるでしていなかった。
僕は一応手ぬぐいの予備を持っていたので、それを使ってもらおうと思ったのだが、あっさりと遠慮されてしまった。
手ぬぐいぐらい使ってもいいのに、何にもなしで風呂上がりにどうするのかと思いながら温泉に入ったのです。
しばらく一緒に温泉に浸かって、たわいない話をしただろう後に、彼は先にでると言ったか、言わなかったか、上がることにしたらしい。
濡れた体をどうするんだろうと思ってみていると、おもむろに体をブルブルと揺らしだした。
足先から頭まで一通り、そして念入りにブルブルさせた後、何事も無かったかのように脱衣所の方に入っていった。
そのブルブルがあまりにもその場所と時間とに違和感無く行われたので、ああ、そういうやり方もあるんだ、と僕は何となく納得してしまった。
その印象が強くて、以来僕たち夫婦は彼のことをブルブルマンと呼ぶようになった。

その後しばらくして僕らが結婚することになり、Weランドでパーティーを開いた時にもブルブルマンは遊びに来てくれた。そういえば伊豆から軽トラで下道を走って来ていたことにも驚いた。

その彼がeatableの洋服を作っているとは漠然としか知らなかった。
実物もまだ見ていない。
なので今回は是非見に行こうと思います。

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エタブルの洋服屋台「山猫軒」
2010年6月25日(金)〜6月27日(日) 11時から18時
会場 岩本清商店 金沢市瓢箪町3-2 Pなし
tel. 076-231-5421 
「金沢駅」「武藏ヶ辻」バス停より徒歩10分。
城下町金沢周遊バス「明成小学校前」バス停より徒歩10秒。

エタブルオブメニーオーダーズ

その後、ブルブルが果たして有効なのか確かめる為に、何度かタオル無しで温泉に行って試してみたのだけれど、やはりそれほど効果的でないことが分かった。


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