前にどこかで買って、使うのがもったいなかった吉野杉の利休箸。
能登のどこだかの旅館さんで割り箸に漆を塗って使っているのをみて、
これはイイと思って真似してみました。
漆塗ってしまえばずっと使えるからね。
早速(と言っても結構前の話ですが)漆と言えば輪島に通うKさんに電話して漆を分けて頂きました。一応「カブレルよ。」と注意を受けはしたのですが、手袋をして一回塗り。拭き取りました。
その次の日には見慣れない発疹が両手の甲に・・
見事にかぶれてしまいました。こんなに辛いものとは思わなんだ・・
3、4日置いて2度塗り目。
みるみるいい色になっていきました。
さらに乾燥させて完成。
あまりの痒さに、当初の予定だった3度塗りは断念。
漆塗りの職人さんを改めてすごいと思いました。
ところで利休箸とは、千利休が茶懐石に使う箸として、お客さんを招く日の朝に吉野地方から取り寄せた杉の赤身部分を、両端を細く加工して削って作っていたものだそうです。
両端が細くなっているのは、片方を神が使いもう一方の端を人が使うためで、ハレの日、お祭りの時などに神と人とが同じ箸を使い、一緒に食事することで、神の魂を呼び込もうという願いからそうなっているようです。
ちなみに
宮本常一の「塩の道」によると、おかずとはハレの日に食べる数多くの副食物のこと。
野菜などの食べ方はほとんどごっちゃ煮だとか、雑炊、煮込みといった形で食べられていたそうです。日常は総菜(そうざい)として、ハレの日と日常には差があったということです。
そう言われると現代では毎日がおかず、ハレが日常となってケの分がほとんどなくなっていると言っても過言ではないでしょう・・
利休箸を普段使いしようと言う魂胆にもそのことが現れているのではないかと、ふと頭をよぎりました。
塩の道 (講談社学術文庫 )
宮本 常一