2013年3月23日

アテの木製材

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輪島の鳳至木材さんに行ってきました。
鳳至木材は地元の森に多く生育する能登ヒバの材を主に扱っている製材所です。
今までに何度も打ち合わせを行なってきましたが、今日はいよいよ実際に使用する大黒柱の製材をして頂きにやってきました。

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柱や梁等に使う材は極力自然乾燥でストックされている材の中から選んで頂きました。
大工の手刻みによる木組みで家を作るには、木の繊維を壊さずにゆっくりと自然乾燥させた材を使用することが求められます。

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含水率計で木に含まれる水分量をみてみると、25%。しかし実際には天日乾燥で30%を切れることはいくら置いておいてもほとんどないそうです。この値は木の表面だけで内部はもう少し高いだろうとのこと。使われる木の寸法が決まると、その寸法よりも少しオーバーサイズに製材をし、少し時間を置くことで徐々に乾燥を進めていきます。

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そしていよいよの大黒柱。今回製材して頂く木は能登ヒバです。
能登ヒバは地元では档(アテ)と呼ばれ湿気にも強く、腐りにくいので土台等に使われることが多い木ですが、実際には曲げ強度、ヤング係数を見ても杉や檜よりも強く粘り強さもある材なので柱、梁にももってこい、ところが実際あまり使われていないのは、「アテは暴れる」と木をよく知る大工や木工の職人達が口を揃えて言うように、非常に扱いづらい材とされているのです。木の繊維が螺旋状に回転しながら成長していくアテ独特の捩じれた木目のため、急激に乾燥すると木が収縮して曲がってしまうのです。
大工はそのような木のクセを読み、全体の架構として丈夫な構造を作っていくというのが木組みの真骨頂なのですが、最近はプレカットで画一化された材を金物で固定していく構法が主流になってしまっているので、そんな大工技術も活かされる機会が少ないというのが現状なのです。

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捩じれた木からまっすぐな四角い柱を取るために外側のかなりの部分は切り落とされます。
巨大な木が目の前で製材されていくのを見るのは、まさに自然の命を削り取っているのだと気づかされます。

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小一時間の加工の後に出来上がった柱は、想像以上に立派な柱でこれから使うのにちょっと怖じ気づいてしまいました。
木は育った年の数だけ建材としても保つと聞くので、木を育てた自然のエネルギーを無駄にしないよう、できるだけ長持ちする建物を建てられたらと思います。

(by なら)




2013年3月21日

自邸 地鎮祭

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長い間設計中でした、自邸兼能登デザイン室の新築工事が、春の訪れとともに始まろうとしています。

先日、無事に地鎮祭を行いました。

工務店から社長と現場監督が。
そして、施主として家族で参加致しました。

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向田の伊夜比咩神社から来て頂いた神主さん。
祭壇には、酒、米,塩、海の幸、山の幸、畑の幸、が並びます。

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今回は、鋤、鍬、鎌も用意して頂き、「鍬入れ」を行いました。

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能登デザイン室では、地元の素材をなるべく使い、地元の風景に溶け込むような家を、
地元の職人さんの技術を活かして作って行きたいと考えています。
なので、こういった節目節目も大切に行っていきたいですね。
昔程盛大には出来ないかもしれませんが、身の丈に合う範囲にて。

今回は設計者兼施主ですが、お施主さんが本当に家づくりを楽しめる事(時には苦しみもあるかもしれませんが)
がとても大切ではないか、そう思っています。

(byタグチ)


2013年3月17日

田んぼの季節

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始まっています、田んぼの季節。
この頃、晴れた天気の日に外に出ると、どこの家の人達もそわそわと田んぼの準備に取りかかりあぜ道を行き交っているのが気になります。ある島の帰り道、大家さんがトラクターに乗っているのを車の中から見つけました。
田んぼまで近寄っていってみると、案の定大家さん。
ちなみに僕らは機械を持っていないので、毎年田起こしは大家さんに頼っているのです。

最初は車の陰に隠れていた長男がボソッと「乗りたい」と言ったのに応えてくれた大家さん。
長男を乗せて田んぼを一周してくれたのでした。
晴れた日に田んぼをトラクターでドライブ!僕もちょっと乗ってみたかった。

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2013年3月13日

建築日誌

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このブログのお隣(上段メニュー)に建築日誌という別ブログを立ち上げました。
昨年能登デザイン室は一級建築士事務所登録をし、今後は建築業務にも重点を置いていくことと、まず手始めに自宅兼事務所の建築を今春より開始します。ということで今後は別ブログの建築日誌にて建築に関する内容は詳しくお伝えしていこうと思っています。

写真は建設予定の在所(ざいしょ)能登島曲町(通称まがり)、建設地は集落から少し外れた所になりますが、黒瓦が奇麗な集落の風景に溶け込めるような建物をつくれたらと思っています。


2013年3月12日

大工小屋にて

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大工さんと打ち合わせ最中の一コマ。
実際に使う太さの柱を前に木組みの納まりの検証をあーでもない、こーでもないとしています。
日本の家は昔から木を組み立てて構造を作り、その間の壁を板や土等で塞ぐという作り方ですが、木組みというのはその構造を作るための木を繋ぐ大工さんの技術のこと。言わば大工さん専用の言葉です。
主には継ぎ手と仕口というものがありますが、例えばここは追っかけ大栓次ぎ(おっかけだいせんつぎ)というと図面を描かずとも日本全国の大工さんには通じてしまう、今でいう優れたコンピュータ言語のようなものだったのです。
僕はもちろんまだ大した知識はありませんが、現在の大工さんも悲しいかなあまりその技術を振るう機会がありません。
(その理由や問題もおいおい書いていきたいと思います)
今回の僕たちの建築ではその技術を存分に発揮して頂こうとというのも目的の一つ。そして昔ながらの日本の家作りがいかに耐震性に優れていたか、季節によって温湿度差の激しい日本の気候にあった建築方法だったのか、その土地の風土に根ざしたものだったのかということ等をいろいろと探っていきたいと思っています。
棟梁、よろしくお願いします。



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