2013年12月15日

障子一枚の安らぎ


blogを読んで頂いている方はうすうすお気づきだとは思いますが、
自宅兼事務所の建設も11月末頃にはほぼ終了しており、私達家族も雪が降る前にと入居も済ませ、日々の生活と仕事も徐々にならし運転中です。

まだ終了していない工事は建具工事と家具工事、職人の皆さんは消費税増税の影響か秋頃から仕事が増えているらしく、この年末は超多忙なのだとか、そんな忙しい中、今日は建具屋さんの田村さんが一階の掃き出し窓につける障子を持ってきてくれました。田村さんは有名な建具の産地、田鶴浜で建具屋を営む職人さんです。

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建具も家具もそうですが、図面のとおりに作ればおしまいという仕事ではありません。
建具を取り付ける枠(鴨居や敷居や柱)は完全な四角形ではなく往々にして微妙に平行四辺形だったり、高さも右と左とで違っていたりします。腕のいい大工さんでもそうなるのはある意味仕方のないことで、後は建具屋さんの手に委ねられるのです。
建具屋さんは現場で枠の状態を見て、建具の高さを鉋で削って調整し、建具を閉じた時には柱に寸分の隙間もできないように微妙な調整をします。こちらが見てピッタリ閉じていると思っても職人さんにしか分からない閉じ具合があるようです。

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この掃き出し窓、実はかなりオープンな窓で道路にも斜めに面していて、人通りがほとんどないとはいえ人目が気になる場所ではありました。お隣はかなり遠くにはなりますが一応視線が通る位置にありました。

この家に住みだしてから3週間、実は体調があまり優れません。
最初は子供の風邪をもらったかと思っていたのですが、寝ても微熱がとれず、かといってずっと寝込むわけでもなく、極力自然素材を使っている家でシックハウスでは笑い話にもなりません。
ある人からは家を建て終わると皆緊張が緩んでそういう状態になるとも言われました。まだ完全に終わったわけではありませんが、移り住んだことでずっと気を引き締めていた意識のたがが外れて疲れが体に来たのかもしれません。

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そんな体が脆弱な状態の時に障子が2枚入りました。
ここ3週間、窓を背に座っていた場所に腰を下ろすと体が芯から温かくなるのを感じました。
二重サッシとはいえ、窓と体の間に一枚の紙が入ることで放射冷却を感じなくなったということもあるのでしょう。
人が通らないとはいえ道路からの視線を僅かに気にして生活していた意識していなかった神経が僅かに緩んだのも感じたように思います。
これだけ薄い紙の存在に体が守られているという思いを持てたのはこれが初めてでした。
同時にこの障子一枚を入れるか入れないかという選択が家に快適に住みたいという人にとっては非常に重要な要素だということにも気づきました。

おそらく全てが完成してから住み始めていたのでは紙一枚があることとないことの違いには気づけていなかったことでしょう。
そんな一見しては分からないこと、体で意識できないことまでも、家というものはひとたび出来上がってしまえば様々な影響を善かれ悪しかれ住んでいる人の意識や体に影響を与え続けているのだと思います。場所、空間の大きさ、素材、光、色、匂い、空気の流れ、温度、湿度等から身近なものの使い勝手等々まで様々なレベルで・・
そういうものになるべく耳を澄ませ、住まい手が安らげるような家づくりができたらと思いました。

次回は薪ストーブのことなどなど。




2013年12月11日

畳納入

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和室のクライマックス、畳がいよいよ納入されてきました。
縁なしの畳表、<い草>の表情がとても奇麗で草の匂いがします。
横で縫ってとめた<い草>を裏で束ねてあるのでさらに厚みがあります。

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松本製畳の松本さんがこの日の新聞をいろいろ買ってきてくれました。
何年後かに畳を上げた時に当時のことが分かって面白いのだとか。
うちは床もあがっていて湿気もこないので特に外に出して干したりといったメンテナンスは必要がないだろうということでした。下手をすれば5、60年もつということなので生きているうちに畳はあげないのかもしれない・・

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そしていよいよ畳。
この畳を入れるのもそう簡単ではありませんでした。
何しろ藁と草でできたものを四角くして並べようというのですから、
ピッタリパズルのようにはいかず、角を叩いたり蹴っ飛ばしたりして全体を調整しながら一枚一枚納まっていきました。

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最後の一枚も無事納まり、
無事和室の完成と相成りました。





2013年12月10日

和室壁紙貼り

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小さい四畳半の和室の壁は能登の和紙を貼ることにしました。
能登仁行和紙の遠見さんにこの日は朝から来て頂きました。

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仕事がし易いように持ってきた道具を並べて、
和室の中は遠見さんの空間に早変わり。
みていると非常に丁寧で着実な手さばきです。

まず和紙をちょうどいい大きさに水で濡らしながら手でちぎります。
これをカッター等で切ってしまうとまっすぐに切れすぎて和紙の風合いが損なわれてしまうとか。
あとは紙全面にしっかりとノリを塗って決められたレイアウトで紙を貼っていきます。

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単純な作業ですが、丁寧さと根気を要します。
僅か四畳半の広さの壁3面と天井1面を貼るのに、
朝から始めて終わったのは夜の7時過ぎ、
途中お昼ご飯をお誘いしたのですが、遠見さんは別に食べなくても大丈夫と、
ずっと作業してらっしゃいました。

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見事貼られた能登仁行和紙、
この紙は珪藻土を漉き込んだ紙でよくみると土の塊が所々に見られます。
縁が一定の幅、重ねて貼られていて和紙ならではの風合いです。



2013年11月21日

左官工事

先々週と先週、左官工事が行われていました。

使ったのは、シラスで出来ているという"中霧島壁"です。
注目していた素材だったので、実際に我が家で体験してみたいなと。

湿度調整、匂いの吸収等、機能的であり、住むのが楽しみな壁となりそうです。

(ただ、我が家には怪獣が二匹いるので、荒らされないかが心配ですが、、、その辺は最初からあきらめましょう)

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下地一面に塗ったパテ(ピンク部分)の上に、中霧島壁の下塗り。
左官屋さんの手の動きは実に滑らか。

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上塗り。
いろんなテクスチャーをつける事が出来るのですが、我が家での仕上げはマットな感じにしました。

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コーナー部分には神経を使った様です。

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ウッドデッキを作る大工さんと、壁を塗る左官屋さんの二重奏。

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こちらは、上塗り担当と、下塗り担当の二重奏。

技術のある職人さんがまだまだいる事に感謝です。

(タグチ)
2013年10月30日

電気配線工事

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電線は厄介モノにされている。
電気は必要だけど、電線の存在はいらない。
そうは言っても、真壁構造では電気配線工事の逃げ場がない。
配線を通す壁自体の厚みが薄い上に、
床と壁、壁と壁、壁と天井の間にはすべて梁や柱が露になっているからだ。

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その柱や梁を縫うように電線を通していくのが電気屋の仕事。
構造上重要だったり、奇麗な梁にあまりに躊躇なくドリルで電線を通す穴をあけていくのを見た時は無性に腹が立ったが、
住宅一棟に必要な電線の量は壁を全て開けてみる機会でもなければ想像できないだろう。
材木に絡み合うように通されていく電気の通り道を見ていると、これ無しでは住宅が機能しない、重要な神経系だということが実感できる。慣れてくると穴の一つや二つ、空けて通るなら通しておいてくださいという気になってくる。

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小舞の隙間を縫って繋がっていく電線。
この後壁を張る際に打たれる釘、ビスもかわす必要があるので下手なところを走ってはいられない。

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天井にもダウンライト用の配線が延ばされる。
照明も器具が見える必要なことはほとんどない。

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ダイニングテーブル上の天井、唯一ペンダントが吊るされる場所。
無理を言ってボードの上にちょっとした細工をして、天井を塞いでもらいました。
その効果が発揮されることを期待して。



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