blogを読んで頂いている方はうすうすお気づきだとは思いますが、
自宅兼事務所の建設も11月末頃にはほぼ終了しており、私達家族も雪が降る前にと入居も済ませ、日々の生活と仕事も徐々にならし運転中です。
まだ終了していない工事は建具工事と家具工事、職人の皆さんは消費税増税の影響か秋頃から仕事が増えているらしく、この年末は超多忙なのだとか、そんな忙しい中、今日は建具屋さんの田村さんが一階の掃き出し窓につける障子を持ってきてくれました。田村さんは有名な建具の産地、田鶴浜で建具屋を営む職人さんです。
建具も家具もそうですが、図面のとおりに作ればおしまいという仕事ではありません。
建具を取り付ける枠(鴨居や敷居や柱)は完全な四角形ではなく往々にして微妙に平行四辺形だったり、高さも右と左とで違っていたりします。腕のいい大工さんでもそうなるのはある意味仕方のないことで、後は建具屋さんの手に委ねられるのです。
建具屋さんは現場で枠の状態を見て、建具の高さを鉋で削って調整し、建具を閉じた時には柱に寸分の隙間もできないように微妙な調整をします。こちらが見てピッタリ閉じていると思っても職人さんにしか分からない閉じ具合があるようです。
この掃き出し窓、実はかなりオープンな窓で道路にも斜めに面していて、人通りがほとんどないとはいえ人目が気になる場所ではありました。お隣はかなり遠くにはなりますが一応視線が通る位置にありました。
この家に住みだしてから3週間、実は体調があまり優れません。
最初は子供の風邪をもらったかと思っていたのですが、寝ても微熱がとれず、かといってずっと寝込むわけでもなく、極力自然素材を使っている家でシックハウスでは笑い話にもなりません。
ある人からは家を建て終わると皆緊張が緩んでそういう状態になるとも言われました。まだ完全に終わったわけではありませんが、移り住んだことでずっと気を引き締めていた意識のたがが外れて疲れが体に来たのかもしれません。
そんな体が脆弱な状態の時に障子が2枚入りました。
ここ3週間、窓を背に座っていた場所に腰を下ろすと体が芯から温かくなるのを感じました。
二重サッシとはいえ、窓と体の間に一枚の紙が入ることで放射冷却を感じなくなったということもあるのでしょう。
人が通らないとはいえ道路からの視線を僅かに気にして生活していた意識していなかった神経が僅かに緩んだのも感じたように思います。
これだけ薄い紙の存在に体が守られているという思いを持てたのはこれが初めてでした。
同時にこの障子一枚を入れるか入れないかという選択が家に快適に住みたいという人にとっては非常に重要な要素だということにも気づきました。
おそらく全てが完成してから住み始めていたのでは紙一枚があることとないことの違いには気づけていなかったことでしょう。
そんな一見しては分からないこと、体で意識できないことまでも、家というものはひとたび出来上がってしまえば様々な影響を善かれ悪しかれ住んでいる人の意識や体に影響を与え続けているのだと思います。場所、空間の大きさ、素材、光、色、匂い、空気の流れ、温度、湿度等から身近なものの使い勝手等々まで様々なレベルで・・
そういうものになるべく耳を澄ませ、住まい手が安らげるような家づくりができたらと思いました。
次回は薪ストーブのことなどなど。