杉を見に、静岡は天竜の森に行ってまいりました。
天竜では建材となる杉を新月伐採、葉枯らし乾燥、天然乾燥、木材のトレーサビリティの徹底など、画期的な取り組みを
天竜T.S.ドライシステム協同組合というところがしています。そのメンバーである
榊原商店の榊原さんに連れられて、広い広い浜松市の天竜区(区と言えるのか?というような田舎でしたが・・)を案内していただきました。
ワイヤーを張って間伐材をを運び出すところ。
間伐材といっても樹齢3,40年の杉の木は立派な材料です。
葉枯らし乾燥を終え、山から運び出してきた丸太を並べて天然乾燥をしているところです。
榊原さんと丸太に登って遊ぶ息子。
榊原さんも面白がってこの後どんどん高いところへ連れていっていました。
含水率を計って見せていただくと、辺材でも60%まで下がっています。
切り出した直後は200%くらいあるそうです。
この後製材してさらに乾燥させることで20%近くまで落として出荷しています。
さて、この年輪の間にある黒い痕は何でしょう。
実はこれ何年も前に枝打ちした後に杉が自分でその傷を皮で覆って治した跡だそうです。
何年かに一度枝打ちをして手入れすることで、製材した時に節が見えない綺麗な材にすることができるのだそうです。
そして、とても興味深かったのがこちら。
新月に伐採した材と満月に伐採した材。満月の方は割れてしまっています。月の満ち欠けの影響を受けて木の中の成分が違うのではないかという研究がされているそうです。新月に伐採した方はカビもつきにくく、風化もおこりづらいという実験結果があるそうです。そして昔の日本人はそれを知っていて、木や竹も必ず新月の時期に切っていたということ。
稲なども虫が付きづらかったり、味にも影響があるというから驚きです。
場所を移動して、森に囲まれた中にある製材所。
整然と材が並び、すべてにバーコードが貼られているのが印象的でした。
丸太を一気に角材にしてしまう2連のバンドソー。
プレーナー加工された桧の4寸の柱材。
見た目も本当に綺麗ですが、匂いがまたいいのです。
今、日本の山には木があるにもかかわらず、コストが合わないがために手入れがなされず放置されている山が本当に多いと聞きます。外国から入ってくる安い材に合わせて、国内の材の値段を落とすために手間を省かれ、なおかつそれでも金額が合わずに木を伐ることもできなくなってきているというのが実情だそうです。
手入れをすることで保たれる美しい景色を残すためにも是非とも天然乾燥した日本の木を使いたいところです。
ところで浜松といえばやっぱり鰻でした。
また鰻を食べに、次回は杉の伐採ツアーに参加しようと思ったのでした。
木とつきあう智恵
エルヴィン トーマ (著)