2013年4月15日

刻(きざ)み

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大工小屋では大工さんによる刻みの作業が始まっています。
棟梁が墨を付けた各部材を、大工さん達が道具を使って文字通り刻んでいきます。
料理で言えば材料の下ごしらえにあたりますね。

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この辺りの大工さん達は「昔のように長ほぞを作って・・」とよく言います。
こちら(上)がその長ほぞ、柱や梁にしっかりと差し込んだ上、外から木の栓を横から刺してさらに固定します。

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それぞれの場所が書かれた仕口。

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こちらは蟻掛けと呼ばれる基本的な仕口のひとつ、逆三角形の形の部分を蟻と呼んでいます。

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蟻ほぞを差し込む蟻穴、女木側の仕口です。
真ん中の穴には柱が刺さります。

家の接合部すべてをこのように手刻みで作っていくので現場に行くと棟梁は「たいへんひまくうげんよ〜(とっても時間がかかるんだぞ〜)」といつも言ってきます。
それでも最近ではほとんどしなくなった仕事のようで他の大工さんが見に来たり、なかなか楽しそうにやって頂いています。


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昨年のとじま手まつりの一環で行なわれた「のてな暮らし展」に引き続き第二弾、
『のてな暮らし展2 〜能登島で生まれるデザイン〜」が今週末4月19日から23日に行なわれます。
内容は今まで能登デザイン室が携わってきたグラフィックやプロダクト商品の展示、普段は目にすることがない商品開発の過程等もご紹介します。現在進行中の事務所兼自邸の図面や模型等。今年で8回目となる手まつりの今まで歴史もポスターやフライヤー等で振り返ります。

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場所はこの5月から能登島曲町にオープンする予定の「ゲストハウス magari」です。
手まつり会場の家族旅行村Weランドの芝生広場同様、七尾北湾に突き出た絶景の高台に位置しています。
室内からも海を見渡せる場所での展示になりますので、景色も楽しみに是非お越し下さい。

20日16時からはのてメンバーとの交流パーティーも行ないます。(要予約)

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2013年4月 8日

矩計り、尺棒製作

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家の部材となる、柱、梁、桁等はあらかじめ大工小屋で加工して接合部に仕口というものを作っておかなくてはなりません。
その加工をするためには棟梁が部材ごとに墨付けというものを行います。
墨付けとは言葉通り、部材に直接、原寸大で加工する箇所を墨で描き込んでいくのです。
そしてその墨付け通りに大工さんがノミなどの道具を使い加工していきます。

棟梁がその墨付けを正しく行なうために必要なのが「矩計り(かなばかり)」と「尺棒(しゃくぼう)」というもの。
矩計りは各階の床の高さや梁桁の位置、言わば家の断面の高さ寸法を記したもので、その建物固有のものになるので、一軒ごとに作らなくてはならないものです。
一方尺棒は建物の横方向の部材の長さの基準を決めるもの。
柱の位置はだいたい3尺おきと日本建築の基本は決まっているので使い回すことも可能になります。
今回は棟梁と一緒にこれから建てる家の矩計りと尺棒を作ってきました。

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こちらは尺棒、一尺ごとに線が引かれ基準点からの距離が記されています。

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床梁などのサブ的な構造材が置かれる基準となる三尺ごとに星印が三つ、柱が置かれる基準となる6尺のところには星5つが描かれていました。尺の字の書き方も独特です。

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こちらが墨付けを行なう道具。
墨壺(すみつぼ)と墨指(すみさし)です。
墨壺は独特の形をしていますが、糸車がついており糸の先端についた針を木材に刺し、糸をピンとはってその糸を弾くと材に墨あとが付きまっすぐな線がひけるという優れもの。法隆寺建立の時代から変わらず使われ続けているという、完成された道具といえます。
墨指は竹でできた棟梁のお手製、先端が墨を含み易くするために細かく切れ目が入っています。
墨壺の中にちょんちょんと墨指をつけて墨を吸わせて使います。

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そしてこちらは指矩(さしがね)、大工さん必携の道具のひとつ、これさえあれば屋根の勾配から部材の割り付け寸法の計算、墨付けまで何でもできるという、形状はシンプル極まりないですが、非常に奥が深い道具です。
表目と裏目というのがあり、裏の目盛りは表の寸法の√2倍の寸法で刻んであり、長さを計算しなくても計れるというものだそうです。(どのような使い方ができるのかはいずれ探っていきたいところです)
棟梁が言うにはこの指矩を使える大工さんも少なくなってきてしまったとか・・

ところでお気づきかとは思いますが、写真の差矩の一本は見慣れたセンチメートルの刻みですね。
大工さんの世界ではまだまだ尺寸が主流ですが、一般の人々の暮らしの中ではメートル法が主流、私達設計する側はというと、柱や梁等の構造材の割り付けは製材する人達や加工する大工さんの世界で一般的な尺寸での寸法を使い、使う人の寸法が基準になるところ(リビングやキッチン等、内装の寸法)ではメートル法での記載というダブルスタンダード・・。
お陰で大工さんも尺寸とメートル法2種類の指矩を使い分けての墨付けをされていました。

矩計りの写真を取り忘れたので、後日追加します・・



2013年4月 5日

土台梁桁材料到着

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大工小屋に材料の一部が届きました。
これから少しづつ材料を大工さんが加工して家の部品にしていきます。

最近の家の建て方は材料のプレカットという方法が盛んに行なわれるようになってきています。
工場の機械がプログラムされた寸法通りに木をカットしていく方法です。
大工さんも現場に行って、すべてカットされた材料をビスやボルトなどの金物を使って組み立てていくだけ。
大工さんにとっても楽な仕事です。

しかし木という材料はプラスチックのように画一的に扱えるような材料では実はありません。
樹種や育ち方、乾燥状態によって、建てられた後もその季節によって木は呼吸し、歪み変形します。
また、木の一本一本が同じ樹種であっても木目が違い、構造的に強い方向が違い、美しい木目を見せる面が違います。
カタログに載った商品をネットで購入したらそれと同じものが次の日には確実に届くような、そんなことが当たり前になってしまった僕たちにはこのことはなかなか信じられないことだと思います。
木を使った大量生産の商品をいくつもデザインしたり、オーダーメイドで無垢の木の板を使って家具を作ったりもしてきましたが、この木が画一的に扱えないということはとにかく大問題で、分かった気になっていると常に落とし穴が待っているのです。

写真の材料、木の小口をみるとあちこちひび割れが見えますね。
木は乾燥すると割れが絶対に入り、外側にもでてきます。
しかし自然乾燥もしくはそれに近い方法で乾燥された木の強度は落ちないと言われています。(木の乾燥の話はまた今度)

この一本一本違う材を大工さんが吟味し、適材適所で家の部材として割り当てることで、昔からその土地にあった家がつくられてきました。そんな木の使い方を経験的に知る大工さんも少なくなってきてしまったというのが実情のようです。

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今回お願いしている中島町の町居棟梁は昔からそんな経験を積んでいる棟梁の一人、何気なく差し金で原寸図を描きながらの打ち合せでは、僕の図面の間違いを指摘し、昔から使われてきた木組みの方法の講義さながら、非常に刺激的で勉強になります。
若手の大工さんにも是非引き継いで欲しいところです。



2013年4月 5日

4/6-7 春ららら市 

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今週末、金沢のしいのき迎賓館の野外スペースで行われている「春ららら市」に参加します。


能登デザイン室は、時計と陶器を持って出展予定です。
ちょっと雲行きが怪しいですが、土曜日はまだ?マークもありますので、是非ご来場下さい!

春ららら市 2013
2013年4月6日(土)・7日(日)
10:00〜17:00
しいのき迎賓館横 広坂緑地にて

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