日本力 [単行本]
松岡正剛氏とエバレット・ブラウン氏が日本のことについて語った本。
自分が現在漠然と抱えていた疑問を、解答をもらうのではなくより明確な言葉としての疑問を提示してくれた。
エバレット・ブラウン氏は、幕末の頃に使われた湿板写真という技法で撮影する写真家。 ガラスの湿板を自分で作り、露光時間が数分と撮影に非常に長い時間を要するやり方で撮影をしている。一方、マクロビオティック料理研究家の中島デコさんとともに千葉県のいすみ市にある「ブラウンズフィールド」というところで、田畑を営み、日本人が代々伝承してきた生活の知恵や自然観等を、古代米や発酵食品づくり等の活動を通して次世代に伝えることもしているらしい。
そんな氏によって語られる、日本人がかつて持っていたであろう美意識や価値観への分析には頭が下がる。外国で日本のことを聞かれ何も知らないことに気づかされたあげく、日本のよさに気づいた振りをして日本の田舎に暮らしていた自分がそれで安心していたことに再び気づかされた気分だ。
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