2013年5月16日

遣形(やりかた)

大工さん達が来て、遣形(やりかた)を行いました。
遣形とは家が建つ位置、そして高さの基準を決める大事な作業です。

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まずおおよその基礎の位置からちょっと離れた所に遣形杭(やりかたぐい)を打っていきます。

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遣形杭に水平に貫を取り付けます。
水貫とも言います。昔はこの水平をだすために中央にバケツを置いてそこからホースで水を延ばし、ホースの水のレベルに合わせて水貫の高さをだしたとか。ホースがない時代はどうしていたのでしょう・・
今はレベルをだす機械を使って簡単に水平が決められます。

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そして水貫の側面に棟梁自ら、尺棒を使って柱芯の寸法を印していきます。

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柱芯に水糸を張ったところ。
ここから垂直に何ミリ降りた所に基礎の天端を合わせる、という風に基礎の正確な位置が決定されます。

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これから工事を進めて行くにあたって、すべての基準を決めるのがこの遣形。
この後の家の位置、向きの変更はできません。

水糸を張ってから家の向きを微妙に調整しました。
設計した家は建物が受ける季節の熱環境負荷を考慮して東西方向に長い形にしてあるのですが、少し北東に傾けてて祖母ヶ浦(ばがうら)の岬方向を向くようにしました。祖母ヶ浦は妻の先祖のお墓があることもありますが、夏至には太陽が岬の先の海から登ってくるのが眺められます。夏至に早起きしてそれを確かめにきたのはもう一年も前、今年の夏至にはやはり間に合いませんでした・・




2013年5月 7日

板図、尺寸

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設計側が書いた図面を元に大工さんが墨付けをするために描くものが板図です。
柱や梁の番付をして、手刻みする部材を決めていくための図面です。

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その他細かい木組みの納まり寸法等、打ち合わせをする時大工さんはすぐにベニヤ等の上に原寸図を描きます。
その時に使われる尺度はニッポンのサイズである尺寸。
最初は頭の中でミリメートルに換算して、それをまた尺寸に換算して話したりしていたのでどうも具合が悪かったのですが、毎日通って棟梁と話しているうちに徐々にそのまま尺寸を感覚的に掴めるようになってきました。そうして使ってみると尺寸という寸法が木組みの建築を考える上でとても使い易いサイズだということに気づきます。

例えば柱を並べるグリッドの単位は3尺、これをミリ表記では909mm(もしくは便宜的に910mm)。
3と909では圧倒的に3の方がシンプル。
柱は3寸5分角(=105mm角)、4寸角(=120mm角)、梁は尺の4寸(300mm x 120mm)垂木のピッチは1尺(303mm)・・。大工さん達が未だに尺貫法を使っていることが納得できます。

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部材の厚みも感覚的に掴め、木組みをするための仕口の欠きこみで断面がどれだけなくなるのか、強度は大丈夫かといったことにも思いが廻ります。

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屋根を乗せる垂木の長さは・・エーと三平方の定理では、と計算する間に棟梁は描いてそれを測ってしまいます。
とにかく描いてしまうことが一番分かり易い。

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登り垂木の軒の出の形状のチェックも描いてしまえば一目瞭然、cadや3Dの絵でいろいろ検証してみても原寸の情報量には及びません。そうなると縮図の図面では考えられていなかった事柄も次々とでてきて、毎日棟梁に「ここはどうなっとるんや!?」と叱られに大工小屋に通うはめに・・



ニッポンのサイズ―身体ではかる尺貫法
石川 英輔 (著)




2013年4月18日

削井工事

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エアーハンマー工法という深井戸の掘削工法です。
岩石を破砕掘削するビットの形状。

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大量の重機が敷地に運ばれてきました。想像以上の大工事。

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コンプレッサーでエアーと水を送り込み、切削した土砂を吹き上げて掘り進みます。

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ø250mmのケーシングパイプも同時に挿入しつつ掘り進むやり方だったのですが、、
予想通り岩盤が固すぎて30mを超えた時点で全く掘れなくなってしまいました。
苦肉の策として、ø150mmのドリルビットだけで掘り進むリスクのある切削方法に変更しました。
作業されていた方もこんなに固いところは掘ったことがないと・・
ドリルビットが欠けてしまって作業の方も苦笑い。

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35mぐらいで水脈にぶつかりました。
吹き上げられる水の量で分かるそうです。
水の色も違います。

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その後40mを超えたところでも別の水脈。

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お茶っ葉を使った簡易的な鉄分の検査。
鉄分が含まれていると水が黒く濁るのだとか・・
どうやら鉄分は大丈夫そうです。
数字は水を取ったところの深さ。

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いよいよ水を上げるためのケーシングチューブを挿入します。

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水脈のある部分にはストレーナーというスリットが空いた塩ビパイプを差し込みそこから水を管に引き込みます。

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最終的には45.5mまで掘りました。
当初の予定では60mまで掘るはずだったのですが。

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簡易的なポンプを設置し今度は揚水試験。

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100l/分の水は余裕ででていました。
水は出てくれたのであとは飲用の検査にパスすればめでたく井戸完成です。
どんな味がするか、この水でご飯を炊いたり、コーヒーを入れるのが楽しみです。



2013年4月18日

槐(エンジュ)の木

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高山のお父さんから頂いた特別な木がありました。
エンジュというなかなか立派な木だったので使う場所を考えあぐねていたのですが、
ようやくいいところを思いついたので七尾の関軒製材所で製材をして頂くことにしました。

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太い木に帯のこの刃を入れる瞬間。
寸法はこれで合っているか、やり直しのきかない作業なのでとても緊張します。

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一皮むくとまた違った木目がでてきます。
どこを残して製材するかで中から節がでてきたり、木目もどんどん変化していくので製材には山師の勘が必要なのだそうです。

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赤身の目が詰まった、とても奇麗な木目がでてきました。
この木をどこに使うかは、、お楽しみです。


2013年4月15日

刻(きざ)み

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大工小屋では大工さんによる刻みの作業が始まっています。
棟梁が墨を付けた各部材を、大工さん達が道具を使って文字通り刻んでいきます。
料理で言えば材料の下ごしらえにあたりますね。

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この辺りの大工さん達は「昔のように長ほぞを作って・・」とよく言います。
こちら(上)がその長ほぞ、柱や梁にしっかりと差し込んだ上、外から木の栓を横から刺してさらに固定します。

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それぞれの場所が書かれた仕口。

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こちらは蟻掛けと呼ばれる基本的な仕口のひとつ、逆三角形の形の部分を蟻と呼んでいます。

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蟻ほぞを差し込む蟻穴、女木側の仕口です。
真ん中の穴には柱が刺さります。

家の接合部すべてをこのように手刻みで作っていくので現場に行くと棟梁は「たいへんひまくうげんよ〜(とっても時間がかかるんだぞ〜)」といつも言ってきます。
それでも最近ではほとんどしなくなった仕事のようで他の大工さんが見に来たり、なかなか楽しそうにやって頂いています。


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