2013年7月 9日

島の石

少し前のお話。
家を建設中の土地は、石が多くて地盤が堅いところだと言われていて、
案の定ユンボでの整地の最中にも大きな石がごろごろでてきていました。

その石を何とか利用できないかということで相談したのが島の石屋さん「青山石材店」。
島でも固いと言われている閨(ねや)の石、その閨という在所に工場を構えています。

島の石は固くて、水はけもよく、柱を据える束石にしてもコンクリートよりもよいというお話だったので、通し柱を据える束石を作って頂くことにしました。石が水を吸うという話も聞いたのは初めてで驚きでした。
青山さんの話し振りでは、青山さんにとって石は感覚的には木のような自然素材という感じで話しているのが印象的でした。

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青山石材の息子さんにでてきたばかりの石をユニックで取りにきて頂きました。
この石の大きさで数百キロはあり、とても人の手では運べません。
一本のロープを引っ掛けて石を起こし、もう一本のロープを掛けて持ち上げる、そのロープさばきも見事です。

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石をユニックに積んで閨の工場に移動、曲の現場から10分ほどです。
工場には様々な石が加工されて置いてあります。

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目に留まった道具は「たいぶり」。
田植え前の田んぼをならす道具。
大きくて使いやすそうな形です。大工さんに作ってもらったのだとか。
ちなみに青山さん親子は島では少ない自然農法での米づくりを試してみているのだそうです。

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そうこうしているうちに石が石切台の上にセットされていきます。
特大の円盤状のカッターが吊られているだけの妙にがらんとした空間。
飛び散った石の粉の跡が壁から天井まで白く残っています。

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石切台の上に置かれた我が家の石。
石も妙に生き物であるかのような気にさせられます。

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切るラインを慎重に見極め、下の隙間にスペーサーをハンマーで差し込み、石が動かないように固定してく青山さん。
外見から、石の中身を想像してなるべく使える部分を歩留まりよく取り出すにはどこで切ったらよいかを考えるのだとか、この辺りはまるで木の丸太を製材する人が木目を読むように、石の目を読むのだそうです。外見に現れている石の線が中まで続く割れなのか、外見上だけの傷なのか、また石の芯にあたる部分があるということも木に似ています。芯は固く、その周りにあたるところは割れやすいのだそうです。

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周りを見ればいろいろな種類のグラインダーの刃が目につきます。

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ゴーンという大きな電流が走る音とともに、水しぶきをあげながらすごいスピードで回転するカッターがゆっくりと石の上を左右に動き始めます。
左右に動きながら徐々に下へとカッターが移動していきますが、そのスピードは本当にゆっくりで石の一面をカットするだけでもかなりの時間がかかります。

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それでも確実にカッターは石の中へと滑り込んでいきます。

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切り終えた石の断面を覗き込む青山さん。

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どうやら大きなヒビが石の中を走っていたようです。
残念ながら束石にするにはいまいちの状態だそうです。

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もうひとつ大きな石を切る算段をする青山さん

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六面を切り落とすと奇麗でおとなしい石の塊になっていました。

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特殊な工具で柱の位置を決めるダホ穴を掘ります。

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様々な種類の砥石やカッター。

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こうして出来上がった、島の束石達。
泥にまみれて荒々しかった岩は既になく、あまりにもつるっとして奇麗な石の表情です。

100年かけて育った木は構造材にしてからも100年は保つと聞きますが、
石が育つ年月はどれくらいのものになるなのでしょう・・。
今回青山さんに作って頂いた15個の束石には通し柱の下でしっかりと家を支えてもらおうと思います。

普段生きているものを解体する現場を目にすることはあまりありませんが、
石とはいえ自然から採ってきた生の素材を扱う場所は独特の雰囲気がありました。

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こちらは島の石で作った石臼だそうです。
どうしたらこんな風に丸く石を切れるのでしょう、
次回は石臼の作り方を是非見せて頂きたいです。




2013年7月 8日

羊さんの断熱材

断熱材には「ウールブレス」を使用しています。
羊でできた断熱材。
ウールブレスは優れた断熱効果があるのはもちろんのこと、調湿性があるため耐久性が高く、木の家との相性は抜群です。
防虫効果も高く、防火、防音とどれをとっても優れています。

袋にギュッとはいっていますが、取り出すとかなり広がります。

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今回は、床、壁、天井共にウールブレスを使用致します。

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床下は大引間、根太間にそれぞれ100mm、60mmのウールブレスを。

自然素材なので手で触れることも出来、施工性も簡単。快適です。

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木と木の間には、ふっくらしたウールに包まれた家になります。

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2013年6月30日

屋根工事

屋根は瓦と決めていました。黒瓦。

その理由は。

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この家並み。
現在事務所&自宅を建設中の能登島曲町の風景。
この、黒瓦の家並みに心引かれていました。

曲に限らず、能登の美しい里山里海の風景には必ずこの黒瓦の家があります。

年月を経て、我が家もこの風景に馴染むような家に、という思いで、この土地で建てるからには瓦しか無いと思っていました。

大勢の職人さんがきて、一気に瓦屋根を葺いて行きます。

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使用している瓦は、石川県の小松市で作られている『小松瓦』です。
小松瓦は両面釉薬が塗られ、丈夫で耐久性が高いのが特徴です。

昔は能登地方で『能登瓦』と呼ばれる瓦がたくさん生産されていたそうですが、残念ながら現在では残っていない様です。

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熱や湿気がこもらないように、棟換気も取り付けました。

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そして、鬼瓦も設置。
なるべくシンプルなものをということで、コチラになりました。
中国から伝わったお経の巻物がモチーフの"経の巻"という鬼瓦。
能登地方では割とスタンダードなものです。

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瓦工事完了しました。

太陽の光があたると、黒さが一層増してすごくキレイなんです。

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朝日と瓦屋根。
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この瓦屋根、月明かりに照らされたときの神秘的な美しさと言ったらありません。
いずれ、ご紹介出来ると良いのですが。
2013年6月26日

6/30 構造見学会

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6月30日に、工務店の取り計らいで現在建設中のオフィス兼自宅の構造見学会を開催することとなりました。

当日は、大工の棟梁を始め、現場監督、材木屋さん、瓦屋さん、サッシ屋さんなどが待機してくれます。
もちろん我々もおります。

能登デザイン室が設計する木組みの家に興味のある方は是非お越し下さい。

お待ちしております。

施工担当のアオイ建設株式会社のホームページでチラシがご覧頂けます。
taguchi
2013年6月12日

上棟

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建前が始まって3日目夕方、棟梁に屋根の上で祝詞をあげて頂き、無事上棟式を執り行うことができました。

今年は運良く(農家さんには悪いですが)梅雨入りが遅れて雨が降らず、非常に暑い中での作業でした。
隣の敷地をお借りして、地面で梁方向のフレームをまず組み立て、それをクレーンで吊って基礎の上まで移動させ山側から順番に桁を繋いで組み立てていくという段取りです。それぞれの箇所の木組みを同時に収めながら柱を土台に落とし込んでいくという、想像ではできそうもないような方法でしたが、現場での木の動きと大工さんの経験もさらに想像を超えたもので、万事がうまく収まりました。
その内容は非常に濃いものでまだ自分でもうまく消化できておりません。
とにかく棟梁と大工さん達の勇姿が目に焼き付いた4日間でした。
そのほんの一部、写真を以下に掲載しておきます。個別の説明はまたおいおいできたらいいなと思います。


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