2013年11月 9日

畳床


我が家にも一応小さい4畳半の和室を作りました。
そこに敷く畳を自分達の田んぼの稲藁で作ろうと、刈った稲藁の束を倉庫に乾燥させておいたのですが、
設計が進まずに倉庫には2年分の稲藁がたまり、3年目にしてようやく念願の畳制作です。

七尾市鵜浦町にある松本製畳さんに相談したところ、
藁持ち込みという我がままも快く了解して頂けました。
県内でも藁床を作れる機械があるところは少なくなってしまったということです。

今回は畳の芯になる畳床(たたみどこ)を作ります。
畳はご存知、表(おもて)と床(とこ)それと縁(へり)からできていますが、
どれも簡略化され品質は落ちる一方。
床の主流はスタイロフォームの芯を木質ボードで挟んだものだそうです。
少し品質のいいものはスタイロの芯を藁で挟んだもの。
昔ながらのオール藁の床はほとんど制作していないらしく、
事務員の方達も珍しがって見に来ていました。

DSC_1483.jpg

ベルトコンベアの上で藁を縦横5層に敷き詰めていきます。
二層並べた後に機械で細切れにした藁も撒いて密度を高めます。


DSC_1462.jpg

藁の並べ方チェック。
掛けてある藁の乾燥も十分そう・・。

DSC_1446.jpg

均一な厚さになるように並べます。

DSC_1466.jpg

機械でもう一列重ねられた稲藁、
この時点で厚みは約30センチ、これを5センチの厚みまで圧縮します。

DSC_1495.jpg

圧縮した藁を機械が一気に縫い上げていきます。
両端には角の補強のためゴザが一緒に縫い込まれます。

DSC_1482.jpg

縫い上げると同時に側面の幅を決めて余分を切り落としていきます。

DSC_1503.jpg

長さ方向も機械が自動で寸法を出しカットします。
年代物の機械なのになかなか優秀です。
これ一枚で30キロの重さ。

DSC_1490 1.jpg

圧縮された藁の断面、藁床の畳は弾力があって座り心地もいいそうです。

次回は表(おもて)です。



2013年10月30日

電気配線工事

DSC_9734.jpg

電線は厄介モノにされている。
電気は必要だけど、電線の存在はいらない。
そうは言っても、真壁構造では電気配線工事の逃げ場がない。
配線を通す壁自体の厚みが薄い上に、
床と壁、壁と壁、壁と天井の間にはすべて梁や柱が露になっているからだ。

DSC_9829.jpg

その柱や梁を縫うように電線を通していくのが電気屋の仕事。
構造上重要だったり、奇麗な梁にあまりに躊躇なくドリルで電線を通す穴をあけていくのを見た時は無性に腹が立ったが、
住宅一棟に必要な電線の量は壁を全て開けてみる機会でもなければ想像できないだろう。
材木に絡み合うように通されていく電気の通り道を見ていると、これ無しでは住宅が機能しない、重要な神経系だということが実感できる。慣れてくると穴の一つや二つ、空けて通るなら通しておいてくださいという気になってくる。

DSC_9822.jpg

小舞の隙間を縫って繋がっていく電線。
この後壁を張る際に打たれる釘、ビスもかわす必要があるので下手なところを走ってはいられない。

DSC_9807.jpg

天井にもダウンライト用の配線が延ばされる。
照明も器具が見える必要なことはほとんどない。

DSC_9830.jpg

ダイニングテーブル上の天井、唯一ペンダントが吊るされる場所。
無理を言ってボードの上にちょっとした細工をして、天井を塞いでもらいました。
その効果が発揮されることを期待して。



2013年10月27日

雨樋


雨樋は設計前からずっとつけまいと思っていました。
奇麗に並んだ日本瓦の軒先を隠すなんとなく邪魔なものという位置づけでした。
そして、一枚一枚の瓦の谷間から垂れる雨だれも風情があっていいだろうと。
そんな思いがかなり強かったので、屋根ができた時も大工さん、板金屋さんに散々言われても「雨樋はつけません」と平然としていたのですが、今シーズン台風時期に何日も続いた大雨。

DSC_9320.jpg

大雨の日に大工さんが現場に来て屋根を見てみろと嬉しそうに電話をかけてきました。
土砂降りの中現場に来てみると、瓦の間から滝のように水が一直線に下屋の屋根の上を叩き付けていました。
養生に屋根の上に貼っていた紙のボードは見る見るうちに穴があいていきます。
「3年もすれば下屋の屋根の塗装が剥げる」と板金やさんにとどめを刺され、雨樋をつける決心をしました。

明かりとりに屋根の一部に穴を開けていたのですが、そこの垂木も一本一本板金でガードすることに。

DSC_9646.jpg

そしてつけるならばこれしかないと思っていた、タニタのガルバリウム鋼板の雨樋を付けました。

DSC_9643.jpg

下からの見た目もスッキリ一直線!
色は敢えて金属色のシルバーです。

DSC_9644.jpg

鋼板製なので頑丈かつ固定金具が上側についているので、下からの見た目がとてもシンプル。
集水器の形状も奇麗です。

これを付けたとたんに雨がピタリと降らなくなりました。
雨樋をつけると雨の日が待ち遠しくなるとは思いませんでした・・



2013年10月25日

板金屋さん

DSC_8864.jpg

下屋の屋根は島の板金屋さん、通りの白山さんにガルバリウム鋼板を葺いて頂きました。
一枚ものではトラックで運べるギリギリの長さの鋼板を屋根の下から順番に葺いていきます。


DSC_8849.jpg

板金屋さん専用の金切鋏。
鉄板が驚くほど簡単に切れていきます。

DSC_8879.jpg

一カ所一カ所ツカミという道具で丁寧に折り曲げていきます。
曲げる前の鋼板はペラペラですが、折り曲げることで角に強度もでて形が保たれます。
上下に重なって一度折り曲げた部分を、横でも曲げると部分的な重なりは鋼板4枚分を曲げることになります。
0.1mmの材料の違いでも加工のし易さ、仕上がった強度にはかなりの差があるそうです。

DSC_8892.jpg

屋根の端部を折り曲げた内側にもL字の板をかましておくことで、落ちてくる水滴がなるべく木材にはあたらないようになっています。この部分の出や、鋼板の下がる寸法、見せる材料の厚みの違いによって屋根全体の見え方と耐久性が変わってくるのでとても気を使うところです。

DSC_8886.jpg

何気ない下屋の屋根一枚にも職人の技術が活かされています。




2013年10月24日

能登仁行和紙

DSC_0634.jpg

輪島三井の山奥にある紙漉き工房を訪れました。
太鼓橋を渡った向こうにあるのがその工房。

DSC_0612.jpg

橋のたもとには穫りたてのかぶが置かれていました。

DSC_0617.jpg

中では遠見さん親子が黙々と紙漉きをしていました。

DSC_0620.jpg


DSC_0614.jpg

漉いた紙を乾かす特注の壁。

DSC_0621.jpg

下から薪をくべて鉄板を温めています。

DSC_0628.jpg

貼付けられた和紙

DSC_0624.jpg

さまざまな和紙。
田の土を漉き込んだもの、輪島塗の下地に使われる"地の粉"珪藻土を漉き込んだもの、
能登の杉やヒバの皮を漉き込んだもの等々。
どれも自然の色がとても優しい風合いをしています。
和室の壁紙をどれにしようか・・と悩みます。

DSC_0625.jpg

大胆に季節の植物を漉き込んだ和紙が貼られた遠見さんの部屋。

DSC_0627.jpg


前の5件 5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15