うちの現場は大体3人の大工さんが同時進行で作業している。
大体というのはたまに棟梁に別の仕事が舞い込むと、棟梁の采配で急ぎの現場に大工さんを廻されたり、逆にこちらの現場で手が必要な時は他の大工さんが助っ人に入るという仕組み、棟梁を中心とした大工さん達の仕事のネットワークの仕組みもとてもよくできている。ただやり取りするうちに気楽な施主だと思われたのか、最近は現場の大工さんが少ない日が多い。
二階担当の丸山さん、3人の中では若手(?)らしいがとても落ち着いた仕事ぶりで天井の板をとても奇麗に納めて頂いた。
一階はベテランのお二方。
新藤さん(上)と高田さん(下)は一つ違いの長〜い付き合い。
既にこの道50年のキャリア、僕が手間を考えずに描いた細かいディテールでもできないとは決して言わず、なんでも作ってくれる。50年のキャリアなんて言わなきゃよかったとぼやきがたまに聞こえてくるは聞こえないふり。
この大工さん達からは今回の現場で教わることが本当に多い。
何しろこちらのキャリアは数年、大工さんにしてみればほぼ初心者が描いた図面をもとに作っているので実際に作る段階になればその都度打ち合わせ、修正ということになる。
大工が一番気にしているのが木と木、部材と部材の納まり、その見え方、持たせ方だという事も今回気づいた。それも図面上での納まり方ではなく、実際の木をどうやって納めるのかという事、ビスをどこからどこにうち接合部は突き付けなのか、チリを付けるのか、目透かしをつくるのか。それらの納まりというものに細心の注意を払う。図面上では接合部に線と線がぶつかればそこももちろん一本の線にしかならないはずなのだが、実際の木ではそうはならない、そこでは必ずどちらかの木が勝って段差ができる、木も乾燥すれば透く、じゃあその上でどう見せるのかというところが大工の目なのだ。
それにようやく気づいてきたこのすでに終盤、大工さん達の現場でのアドバイスのお陰で何とか大きな失敗はないものの、心残る箇所は後からよけいに出てきている。
午前と午後に一度づつある、一服の時間。
「おい、いっぷくやぞ!」と声がかかる。