設計側が書いた図面を元に大工さんが墨付けをするために描くものが板図です。
柱や梁の番付をして、手刻みする部材を決めていくための図面です。
その他細かい木組みの納まり寸法等、打ち合わせをする時大工さんはすぐにベニヤ等の上に原寸図を描きます。
その時に使われる尺度はニッポンのサイズである尺寸。
最初は頭の中でミリメートルに換算して、それをまた尺寸に換算して話したりしていたのでどうも具合が悪かったのですが、毎日通って棟梁と話しているうちに徐々にそのまま尺寸を感覚的に掴めるようになってきました。そうして使ってみると尺寸という寸法が木組みの建築を考える上でとても使い易いサイズだということに気づきます。
例えば柱を並べるグリッドの単位は3尺、これをミリ表記では909mm(もしくは便宜的に910mm)。
3と909では圧倒的に3の方がシンプル。
柱は3寸5分角(=105mm角)、4寸角(=120mm角)、梁は尺の4寸(300mm x 120mm)垂木のピッチは1尺(303mm)・・。大工さん達が未だに尺貫法を使っていることが納得できます。
部材の厚みも感覚的に掴め、木組みをするための仕口の欠きこみで断面がどれだけなくなるのか、強度は大丈夫かといったことにも思いが廻ります。
屋根を乗せる垂木の長さは・・エーと三平方の定理では、と計算する間に棟梁は描いてそれを測ってしまいます。
とにかく描いてしまうことが一番分かり易い。
登り垂木の軒の出の形状のチェックも描いてしまえば一目瞭然、cadや3Dの絵でいろいろ検証してみても原寸の情報量には及びません。そうなると縮図の図面では考えられていなかった事柄も次々とでてきて、毎日棟梁に「ここはどうなっとるんや!?」と叱られに大工小屋に通うはめに・・
ニッポンのサイズ―身体ではかる尺貫法
石川 英輔 (著)
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