2013年4月18日

削井工事

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エアーハンマー工法という深井戸の掘削工法です。
岩石を破砕掘削するビットの形状。

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大量の重機が敷地に運ばれてきました。想像以上の大工事。

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コンプレッサーでエアーと水を送り込み、切削した土砂を吹き上げて掘り進みます。

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ø250mmのケーシングパイプも同時に挿入しつつ掘り進むやり方だったのですが、、
予想通り岩盤が固すぎて30mを超えた時点で全く掘れなくなってしまいました。
苦肉の策として、ø150mmのドリルビットだけで掘り進むリスクのある切削方法に変更しました。
作業されていた方もこんなに固いところは掘ったことがないと・・
ドリルビットが欠けてしまって作業の方も苦笑い。

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35mぐらいで水脈にぶつかりました。
吹き上げられる水の量で分かるそうです。
水の色も違います。

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その後40mを超えたところでも別の水脈。

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お茶っ葉を使った簡易的な鉄分の検査。
鉄分が含まれていると水が黒く濁るのだとか・・
どうやら鉄分は大丈夫そうです。
数字は水を取ったところの深さ。

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いよいよ水を上げるためのケーシングチューブを挿入します。

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水脈のある部分にはストレーナーというスリットが空いた塩ビパイプを差し込みそこから水を管に引き込みます。

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最終的には45.5mまで掘りました。
当初の予定では60mまで掘るはずだったのですが。

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簡易的なポンプを設置し今度は揚水試験。

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100l/分の水は余裕ででていました。
水は出てくれたのであとは飲用の検査にパスすればめでたく井戸完成です。
どんな味がするか、この水でご飯を炊いたり、コーヒーを入れるのが楽しみです。



2013年4月18日

槐(エンジュ)の木

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高山のお父さんから頂いた特別な木がありました。
エンジュというなかなか立派な木だったので使う場所を考えあぐねていたのですが、
ようやくいいところを思いついたので七尾の関軒製材所で製材をして頂くことにしました。

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太い木に帯のこの刃を入れる瞬間。
寸法はこれで合っているか、やり直しのきかない作業なのでとても緊張します。

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一皮むくとまた違った木目がでてきます。
どこを残して製材するかで中から節がでてきたり、木目もどんどん変化していくので製材には山師の勘が必要なのだそうです。

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赤身の目が詰まった、とても奇麗な木目がでてきました。
この木をどこに使うかは、、お楽しみです。


2013年4月15日

刻(きざ)み

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大工小屋では大工さんによる刻みの作業が始まっています。
棟梁が墨を付けた各部材を、大工さん達が道具を使って文字通り刻んでいきます。
料理で言えば材料の下ごしらえにあたりますね。

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この辺りの大工さん達は「昔のように長ほぞを作って・・」とよく言います。
こちら(上)がその長ほぞ、柱や梁にしっかりと差し込んだ上、外から木の栓を横から刺してさらに固定します。

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それぞれの場所が書かれた仕口。

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こちらは蟻掛けと呼ばれる基本的な仕口のひとつ、逆三角形の形の部分を蟻と呼んでいます。

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蟻ほぞを差し込む蟻穴、女木側の仕口です。
真ん中の穴には柱が刺さります。

家の接合部すべてをこのように手刻みで作っていくので現場に行くと棟梁は「たいへんひまくうげんよ〜(とっても時間がかかるんだぞ〜)」といつも言ってきます。
それでも最近ではほとんどしなくなった仕事のようで他の大工さんが見に来たり、なかなか楽しそうにやって頂いています。


2013年4月 8日

矩計り、尺棒製作

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家の部材となる、柱、梁、桁等はあらかじめ大工小屋で加工して接合部に仕口というものを作っておかなくてはなりません。
その加工をするためには棟梁が部材ごとに墨付けというものを行います。
墨付けとは言葉通り、部材に直接、原寸大で加工する箇所を墨で描き込んでいくのです。
そしてその墨付け通りに大工さんがノミなどの道具を使い加工していきます。

棟梁がその墨付けを正しく行なうために必要なのが「矩計り(かなばかり)」と「尺棒(しゃくぼう)」というもの。
矩計りは各階の床の高さや梁桁の位置、言わば家の断面の高さ寸法を記したもので、その建物固有のものになるので、一軒ごとに作らなくてはならないものです。
一方尺棒は建物の横方向の部材の長さの基準を決めるもの。
柱の位置はだいたい3尺おきと日本建築の基本は決まっているので使い回すことも可能になります。
今回は棟梁と一緒にこれから建てる家の矩計りと尺棒を作ってきました。

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こちらは尺棒、一尺ごとに線が引かれ基準点からの距離が記されています。

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床梁などのサブ的な構造材が置かれる基準となる三尺ごとに星印が三つ、柱が置かれる基準となる6尺のところには星5つが描かれていました。尺の字の書き方も独特です。

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こちらが墨付けを行なう道具。
墨壺(すみつぼ)と墨指(すみさし)です。
墨壺は独特の形をしていますが、糸車がついており糸の先端についた針を木材に刺し、糸をピンとはってその糸を弾くと材に墨あとが付きまっすぐな線がひけるという優れもの。法隆寺建立の時代から変わらず使われ続けているという、完成された道具といえます。
墨指は竹でできた棟梁のお手製、先端が墨を含み易くするために細かく切れ目が入っています。
墨壺の中にちょんちょんと墨指をつけて墨を吸わせて使います。

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そしてこちらは指矩(さしがね)、大工さん必携の道具のひとつ、これさえあれば屋根の勾配から部材の割り付け寸法の計算、墨付けまで何でもできるという、形状はシンプル極まりないですが、非常に奥が深い道具です。
表目と裏目というのがあり、裏の目盛りは表の寸法の√2倍の寸法で刻んであり、長さを計算しなくても計れるというものだそうです。(どのような使い方ができるのかはいずれ探っていきたいところです)
棟梁が言うにはこの指矩を使える大工さんも少なくなってきてしまったとか・・

ところでお気づきかとは思いますが、写真の差矩の一本は見慣れたセンチメートルの刻みですね。
大工さんの世界ではまだまだ尺寸が主流ですが、一般の人々の暮らしの中ではメートル法が主流、私達設計する側はというと、柱や梁等の構造材の割り付けは製材する人達や加工する大工さんの世界で一般的な尺寸での寸法を使い、使う人の寸法が基準になるところ(リビングやキッチン等、内装の寸法)ではメートル法での記載というダブルスタンダード・・。
お陰で大工さんも尺寸とメートル法2種類の指矩を使い分けての墨付けをされていました。

矩計りの写真を取り忘れたので、後日追加します・・



2013年4月 5日

土台梁桁材料到着

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大工小屋に材料の一部が届きました。
これから少しづつ材料を大工さんが加工して家の部品にしていきます。

最近の家の建て方は材料のプレカットという方法が盛んに行なわれるようになってきています。
工場の機械がプログラムされた寸法通りに木をカットしていく方法です。
大工さんも現場に行って、すべてカットされた材料をビスやボルトなどの金物を使って組み立てていくだけ。
大工さんにとっても楽な仕事です。

しかし木という材料はプラスチックのように画一的に扱えるような材料では実はありません。
樹種や育ち方、乾燥状態によって、建てられた後もその季節によって木は呼吸し、歪み変形します。
また、木の一本一本が同じ樹種であっても木目が違い、構造的に強い方向が違い、美しい木目を見せる面が違います。
カタログに載った商品をネットで購入したらそれと同じものが次の日には確実に届くような、そんなことが当たり前になってしまった僕たちにはこのことはなかなか信じられないことだと思います。
木を使った大量生産の商品をいくつもデザインしたり、オーダーメイドで無垢の木の板を使って家具を作ったりもしてきましたが、この木が画一的に扱えないということはとにかく大問題で、分かった気になっていると常に落とし穴が待っているのです。

写真の材料、木の小口をみるとあちこちひび割れが見えますね。
木は乾燥すると割れが絶対に入り、外側にもでてきます。
しかし自然乾燥もしくはそれに近い方法で乾燥された木の強度は落ちないと言われています。(木の乾燥の話はまた今度)

この一本一本違う材を大工さんが吟味し、適材適所で家の部材として割り当てることで、昔からその土地にあった家がつくられてきました。そんな木の使い方を経験的に知る大工さんも少なくなってきてしまったというのが実情のようです。

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今回お願いしている中島町の町居棟梁は昔からそんな経験を積んでいる棟梁の一人、何気なく差し金で原寸図を描きながらの打ち合せでは、僕の図面の間違いを指摘し、昔から使われてきた木組みの方法の講義さながら、非常に刺激的で勉強になります。
若手の大工さんにも是非引き継いで欲しいところです。



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